1998.9.1〜9.12 ドイツ・スイス・フランスにて研修

美しい景観から学んだこと

 ヨーロッパの9月は、もう秋の様でした。木々は紅く色づき始め、半袖では肌寒く、街の人々はセーターやコートを着て歩いていました。

景観に配慮した農業

 住宅の窓辺には、ゼラニウムの赤と緑の色が美しく飾られ、家の庭は果樹や花が植えられて色とりどりのきれいな花で一杯に咲き乱れています。
これらは、各家庭で主婦の仕事として徹底的に教育されています。古い建物でも大事に使い、家の中をピカピカに磨き、整理整頓し、リサイクルできる物、焼却する物などゴミを分別し生活しています。特にドイツのリサイクルは、徹底して行われているそうです。

 またドイツでは、ミュンヘン市内で一番美しいといわれるクラインガルテン(市民農園)を、視察しました。利用者は母子家庭や老人、家や庭のない低所得者の人が優先的に借りることができます。土地の半分は自給自足の為の野菜や果物を栽培しますが、残り半分の土地は、芝や花が必ず植えられ美しい風景を作り出していました。園芸の道具を置く小屋も景観のアクセントとしてログハウス風の物が建てられていました。赤いリンゴが実り、色とりどりの花が咲きとても美しかったです。日本の貸農園は、野菜を収穫するだけが目的ですが、ここでは、利用者以外の人も自由に見学ができ公園の様に散歩したり、自然体験ができる様になっていました。日本も、このミュンヘンのクラインガルテンを参考にしたら良いと思いました。忙しい研修の中で、ここの花や緑は私達を和ませやさしくゆとりのある気持ちにさせてくれました。

 ドイツは、「白ワインの国」といわれています。ライン川沿岸では、たくさんの古城があり、斜面には、ぶどう畑が広く作られていました。
 私達が訪れた、家族経営のぶどう農家のシュネルさんのぶどう畑は、小高い丘に見わたす限りに広がっていました。日本のぶどうというと棚に下がっていますが、ここでは、ワインを作る為に、苗をまっすぐに垣根の様に植えます。

 有機農法を実践しているので、うね間には豊かに肥えた土を作る為に、豆科の植物と芝を植えていました。これは、4年ごとに植えかえるそうです。私には、どう見ても雑草にしか見えず、草とりをする衝動にかられました。シュネルさんの自宅の地下室でワイン貯蔵庫とワインの入ったビンが、たくさん重ねてあるのを見ました。その後、レストラン風の建物で、手作りのワインを試飲しました。ワインは、最高級になる程、甘口になるそうです。

 スイスでは、ミュージンゲン農業家政学校を訪問しました。マイスターという農業経営者としての資格をとる為に、農業に必要な生産や加工技術をはじめ広い範囲に渡る知識と技術を習得する事ができます。この日は、男子生徒の授業風景を見る事ができました。家政科コースの女生徒も文化祭の様な催しがある為に、教室に手作りの洋服などを展示していました。同時に、この学校では、市民が家政の事や農業に対する相談を受ける事ができるそうです。またセラピーという施設もあり心の病いの人や障害者の人などに対して、牛や馬に乗ったり、動物とのふれあいを通して、心をいやし治す方法を行なっているそうです。学校の設備も整っていましたが、窓辺に花が飾られ庭にもたくさんの花が植えられて、自然と動物とふれあってこそ、気持ちがやすらぎ、病気も治るのだなと感じました。

ランジス中央市場の新鮮なトマト

パリ近郊野菜農家では、直売所を見学しました。5haの畑で、40種類もの野菜や果物を作っているとの事。私の家でも、直売中心で、トマトときゅうりを作っていますが、トマトは形のきれいな物と悪い物とに分け、袋に入れて店に並べます。しかし、この直売所では、買う人が直接畑から野菜をとってきて、計りにかけて買ったり、店では収穫したトマトに大きく穴のあいた物や変形したトマトも形の良い物と一緒に、混ぜて並べられていました。価値観の違いでしょうか。日本は、外見を重視しすぎると感じました。残った野菜や形の悪い物は、ジャムやジュース、ワインに加工して売っていました。

 ドイツの有機農業協会のオーガニック販売店にもトマトが売られていましたが、収穫してすでに3〜4日以上たっている様なトマトで、皮がシワシワになっている物が並べられていました。

 「とりたて、新鮮」をモットーにしている我家の直売所とは、考え方が違うなと思いました。

 食べ方(料理方法)も違うのでしょうが、それにしてもと思いました。有機農法ということに、自信と誇りをもっているのでしょう。売れ残った物は、半額にし最後には家畜のえさになるとの事。私の家では、その日に収穫した物だけを販売します。また収穫量が多い時には、市場にも出荷しますが、将来は、トマトジュースやジャムなど加工技術ができる様になれば良いと思います。

「ただいま」の後で

 帰ってみると、すでに稲刈りも終わりに近づき、もち米の稲刈りを手伝って、私の水稲作業は終了となりました。母には、私のいなかった12日間の子供の世話、食事の支度をはじめとする家事全般から農業の仕事まで、全部しなければならなかったので、毎日大変だったと思います。逆に私がいない事で、母は「自分が勉強になった」と言ってくれましたが、母がいてくれたからこそ、私は、12日間も家をあけて研修する事ができました。心から感謝しています。世間では、嫁姑開係で、うまくいっていないという家が、まだまだある様です。

 母は、私を「娘」と呼び「自分の体験した事は、くり返したくない」と言います。自分が、辛い経験をしたからこそ、相手の気持ちが理解できる。母の姿から、もう一つ勉強する事ができました。母も花が好きで、庭や直売所の周りに種をまき、いつも季節の花で、一杯にします。

 ヨーロッパの風景を見て、花や街並が美しかったのですが、すぐそばにも、見習うべき母の姿がありました。花を自分だけで、楽しむだけでなく多くの人々にも、花を見てもらい美しいと思ってくれる気持ちこそ大切だと思いました。

 今回の研修、幅広い年令層の中、毎日新鮮で、貴重な体験ができ楽しく過ごさせて頂きました。今後は、男女半分半分の人数で、研修団を組織できる様に期待しています。
 将来、私が姑になる事ができたら、嫁「娘」に笑顔で「海外研修に、行ってらっしやい」と送りだしてあげたいと思います。
 最後に、この機会を与えて下さった普及センタ一の皆様をはじめ、各関係機関の方々、団役員、研修生の皆々様に、心より感謝申し上げます。


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